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 高度先進医療・・・その積極的な開発の要請

医事課   
 高度先進医療とは、医療技術の急速な進展の中で、開発された良い技術もすぐに保険診療にできないため、その便法として保険適用になるまでの間、保険診療との間の調整を図る必要から1984年に生まれた制度です。現在高度先進医療として承認されているものには、生体部分肝移植手術(小児)など医科で36種類、歯科ではインプラント義歯など8種類の医療技術があります。腎臓・尿管結石等の体外衝撃波、胸腔鏡下手術などはこの制度から保険適用となった技術です。本院でも、以前に温熱療法、モノクローナル抗体、脊髄誘発電位測定の高度先進医療がありましたが、現在では保険収載された医療技術となっています。  それではどのようなものが高度先進医療になるのでしょうか。「高度先進」という言葉から先端研究的な医療技術を想定しがちですが、そうではなく、

 1 治療研究の段階を終え、

 2 安全性、有効性、普及性、効率性などが確立・確保されており、  

 3 実用化の目処がたち、  

 4 保険診療前の段階にある、

    保険適用に耐え得るかどうかを試されている技術

つまり、保険医療の側から見て「高度先進」である医療技術ということです。このため、使用する薬剤、機器、材料等は全て薬事法の承認を受けたものであることが必要です。  高度先進医療の開発から承認までの流れ(図1)は、まず倫理的な問題をクリアした後、最低5症例程度の実績医療の段階では国費患者として実績を積み、その後は高度先進医療の申請を行い、この制度の承認を受けることになります。この承認を受けた後は、高度先進医療にかかる部分の費用は個人負担になりますが、それ以外の一般の診療と共通の診療、検査、投薬、入院などの部分には保険診療が適用(特定療養費)され、患者さんや病院の負担が大幅に軽減されることになります(図2)。  本院では1986年8月に高度先進医療を取扱う機関として特定承認保険医療機関、特定承認療養取扱機関の認可を受けています。本院は特定機能病院ですが、特定機能病院は高度な医療技術の開発および評価、提供の機能を有する病院であることから、積極的な高度先進医療の開発が課題となります。 
 特定機能病院は、高度先進医療の承認条件が緩和されており、他の機関で承認されている高度先進医療については実績症例がなくても申請ができること、および文献の添付を省略できるとされています実際は、2例以上の実績症例、また論文添付も必要と行政指導されます

  参考 メディカル朝日 1997-1

   高度先進医療は知られているか 「保険適用なるもならぬも普及次第?」

    鈴木幸雄・厚生省保険局医療課課長補佐に聞く より
 

  厚生労働省 高度先進医療解説